「真理とディスクール ― パレーシア講義」M・フーコー著 を読む | 宮本浩樹のブログ ― アーカイブ ―

「真理とディスクール ― パレーシア講義」M・フーコー著 を読む

“制限の無い権力とは、そのまま狂気に結びついているのです。権力を行使する人間が賢い人間であるためには、だれかがパレーシアを行使して、支配者を批判し、支配者の権力と命令に制限を加える事が必要なのです。”

パレーシア:己が真実と信じる事を、恐れないで率直に述べる事。(ギリシャ語)
この概念自体が考察の対象だから、ここで定義付けすることは不適切。
便宜上、自分に不利益がある可能性があってもあえて自己の信ずるところを公に発言すること。と考えていてもいい。

制限の無い権力:現在、世界はこれによって支配されている。
人間の行動をドライブする最大の要因が欲望と恐怖であり、それが情報によってもたらされるとすれば、
欲望をマネージメントする最高のシステムである資本主義。
恐怖をマネージメントする最高のシステムであるテロリズム。
情報をマネージメントする最高のシステムであるマスメディア。
この三つのシステムが一体化した巨大で、なにものにも制限されない権力機構。
アントニオ・ネグリの言う〈帝国〉の中枢はこの権力機構であろう。
この「狂気」の権力がもたらす今日の「地獄」のような世界を「正常化」するためには「誰かが・・・支配者の権力と命令に制限を加える」必要がある事に間違いあるまい。

“お前が真実を語るなら、それがどのような結末をもたらそうと、罰せられる事は無い。罰せられるのは、不正をもたらした者であり、不正について真実を語るものではない。― パレーシア契約。”

これが本当ならいいんだが。